そういえば「読書の秋」という言葉を聞かなくなりました。
ネットがいかに発達しようとも、本を読む楽しみがなくなるわけではありません。
文化度が下がったのか、貧しくなったのか。
待合室においてある本を楽しそうに読む子供たちを見ると、結局は横でスマホに夢中の親が読書を遠ざけていると感じます。
私は中1の時に、友人に読書の楽しみを教えてもらった話は以前にも書きました。小遣いのほぼすべては本代でした。
最近はついつい、政治色の強い本や、自然科学分野に傾きがちでしたので、がらっと趣向を変え小説を読みました。
「英雄」 真保裕一著
約30年前に「連鎖」で江戸川乱歩賞を受賞、その後「震源」や「奪取」という氏は二文字の表題と、主人公が名もない小役人という、重厚で実社会に即したミステリーを連発されました。
医者になって7,8年。単行本を買うだけの懐の余裕が出てきた頃でしたので、ワクワクしながら出版を待ちました。
以後は私の趣味趣向が変わり、先日紀伊国屋書店で、平積みの本の中に「真保裕一」の名を見つけ衝動的に購入した次第です。
以前なら2,3日もあれば読了したのだけれど、2週間くらいかかりました。眼がすぐ疲れるし、夜は酔ってるし。
年とともに作者も変わるよなぁ、というのが感想です。私の思い入れが強すぎたのかもしれません。
「え?そう終わる?」というものでした。
戦後の復興期の男の物語として読むと、また興味深いのかもしれません。
待合室に置きます。
ぜひご一読を。