先日、松竹座で行われている七月大歌舞伎を観に行ってきました。久しぶりに市川染五郎が来阪しましたから。染五郎は子供たちが小さいころ、「ETV」の「日本語であそぼう」に出演していて、小さい子相手に歌舞伎の所作を演じていました。とても楽しかったのを覚えています。舞台で奈落へ転落し、足を骨折して以来関西ではお目にかかっていない気がしました。若手から、そろそろ円熟味が出てきたかな。中堅の渋いところが物故され、寂しくなった歌舞伎界。彼らにかかる負担は相当のものがあると推察します。いつも思うのですが、なぜ歌舞伎は安売りチケットが出回るのでしょう?今回は生協の格安チケットで行きました。2階の3列目。十分です。ただ今回のように暗い舞台では老眼はつらいです。表情がよくわかりません。私たちが観たのは夜の部。盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)。2時間近い大作です。少し夏らしく怪談めいた場面もあり、よくありがちな、善人はとことん善人というわけではありません。一癖あるのです。といっても私はいまだ歌舞伎初心者。話の筋をきちんと理解していない。難しかったです。場内で買える番付(プログラム)。あらかじめ買えないかなと感じました。母と娘はイヤホンガイドで理解していたようですが、私はこれ苦手なんです。私が好きな「中村壱太郎」。妖艶な姿を堪能させることなく、殺されました。あれっ?「中村時蔵」染五郎の妻を演じるには、ちょっと年齢的な無理を感じたけれど、強欲な感じをしぶく演じてよかったです。「尾上松也」は暗くなりがちな劇の狂言回し的役回りで、救われました。今度は彼が主役をはる演目を観てみたいものです。「市川染五郎」。熱演でした。汚れ役を明るく演じていたように思います。でもまだ若さがでますね。少しこれは早かったかも。あと10年後にもう一度観てみたい。結論。やはり「片岡仁左衛門」はすごい。74歳ですよ。あのオーラは何なんや。屋形船の簾を上げるだけで、場内が仁左衛門ワールド。一つ一つの所作がかっこいい、色気がある。指先の爪まで見たような気にさせる動き。声量とその艶。皆が仁左衛門詣でをする理由がさらに理解できたように思います。「中村獅童」さんの病状は気になりますが、このたび復帰される由。また厳しいようですが、「市川海老蔵」さんの復活を待ちましょう。妻想いのツイッターはもういいです。医師会の福利厚生行事から、はまりこんだ歌舞伎。幕間弁当を楽しみに、もう少し通いたいと思います