ニュージーランドからの帰国後、非常にあわただしい時間を過ごしました。いつもより忙しい診療に加えて、私が世話している学会の雑用、月末の保険請求の事務処理などなど。寝床で雑誌を読みながら寝てしまう毎日でした。そのなか、開業まる20年を過ごしました。20年か。心も身体も非常に若かったなと遠い日々を思いますが、そんなに経ったのかというのが実感です。希望に胸ふくらませて過ごしたフランス留学から帰国して3年半。私の実力が足りなかったと言えばそれまでですが、不遇の時を過ごしました。懸命に実績を積み上げましたが、転勤の希望は叶わず、そこに父が亡くなりました。父は生前から、最後は開業して地域に貢献するように、と申しておりました。「天の差配かな」という思いがでてきて、急遽開業を決意しました。そして、地元の薬剤師さんとの知己を得て、縁もゆかりもない初芝の地に開業したのでした。あれほど私の願いを無視した教授は、退職1週間前に翻意を迫る電話をよこしました。初めて目上の人に対して私の方から電話を切りました。この20年、来院される患者さんに教えられながら、突っ走ってきたと感じます。30周年?考えられないです。その年齢で父が亡くなりましたから。毎日毎日を懸命に過ごすだけかな。医療は国策でいかようにも変わります。高齢化の進む将来、日本の医療環境がよくなるわけがありません。皆様も自分で自分の健康を守る努力してくださいねと、私らしく偉そうな物言いで締めくくります。写真は、15周年の時に、職員がプレゼントしてくれたワインです。大切に保存して、20年目の開封をして、ささやかに自分に祝杯をあげたのでした。