久しぶりに宝塚歌劇を観に行った。2年ぶりくらいか。前回はエリザベートだった。何でもトップのサヨナラ公演なんだそうだ。2本立てで、ひとつはロシア物。革命前夜の貴族の悲恋の物語。ロシア物は鳳蘭主演の「ロシアわが愛」以来である。宝塚はハッピーエンドより悲恋物が似合う。日本人の心情に合っているのかも。きっと天国で二人は結ばれるのね。という思いを抱くのがいいのだろう。余韻の問題である。1時間半これは気持ちよく楽しめた。もう1本はレビュー物。明るくてよかった。一昔前より、生徒さんの歌唱力、踊りのレベルはあがっていると思う。下級生のラインダンスも見ごたえがあった。恥ずかしながら、レビュー物を観ると、私は涙が止まらない。ここまでの彼女たちの道のりを考えてしまうから。どれほどつらい努力を重ねてきたのだろう。などなど考えてしまうのだ。ついつい舞台の端のほうの生徒さんを見やる。一生懸命な笑顔が素晴らしい。私は出し物が良ければ誰が演じようと関係ない。私の母は筋金入りのヅカファンで、彼女の楽しみは、ひいきにすべき若手の発掘にある。1年目、2年目の時に秘かに応援を始めるのだそうだ。別にタニマチとして資金を援助するわけではないのだが、成長し、いい役をもらうが楽しみらしい。母のような心境なのか。そういえば大学生のころ、大劇場のそばに旧音楽学校があった。観劇の帰路、校舎の上から手を振ってくれる生徒さんにエールを送ったものだ。日曜日もレッスンしているのである。彼女たちは決して苦労や努力の跡を見せないが、それを深く理解して暖かく見守ろうとするファンがいるので、あの心地よい大劇場の空間が維持されるのだと思う。ただ180㎝の大男が座ることで後ろの女性(99%が女性)の邪魔になると、身を屈めているので肉体の苦痛が半端ない(笑)。もっと行きたいけど。 ※ 写真は宝塚歌劇のHPより借用しました。公演中はもちろんカメラ厳禁です。公演を見学に来ている生徒さんを写すのも下品とされてて、握手を求める人もまずいません。  このファンと生徒さんの絶妙の距離感が、宝塚を支える気品というものでしょう。