大震災以後、「東北」と聞くと鼻の奥がツンとする。今日は日本整形外科学会学術集会総会が仙台で開催されたので、日帰りでもったいないと思いつつ行ってきた。福島へは3度訪ねたが、「宮城はまぁ経済規模も大きいしいいか」と少し思っていたのである。ところが、震災の傷跡は市内はそうも思わなかったけど、街中いたるところに「震災忘れまじ」と感じさせる掲示がある。空港もそうだったけど、建造物が新しくてきれいなのがかえって被害のすさまじさを想起させる。まず学会に参加して思ったのは、「もう若くない」ということ。当たり前だ。同級生が教授を拝命する年なのだ。若い研究者が溌溂と発表する姿を見て、心底羨ましかった。しかし、逆に新しい知識を吸収して奮い立つものを感じたのも事実である。高名な先生の御高説を賜るだけが学問ではないのだ。わざわざ来たかいがあった。昼の休憩を利用して、会場の裏にある、青葉城跡へ登った。山城なんである。有名な伊達政宗の騎馬像がある。生誕450年だそうな。そこで娘にマストと言われた「ずんだシェイク」を食す。ずんだの粒粒を感じるが、味はよくわからん。まあ話のタネに。帰路、仙台駅ビルで遅い昼食。今の時期の東北は海の幸でしょう。「すし哲」なる店へ。この年になってもなお「寿司屋」は躊躇する。「岩ガキ」甘い!そして生まれて初めて「ホヤ」を食べた。磯臭く、少し舌の奥のほうで苦みが。もっとアンモニア臭いかと思っていたがそれはなかった。それと現地物のネタで握りを少々。当然日本酒。「大和伝」と「阿部勘」の純米酒。すっきりとしているのに力強い。せっかくの東北だ。財布のひもも緩める。仙台といえば「笹かまぼこ」でしょう。いくつも店が並んでいるので気を遣うのだが、一番商売気のないお嬢さんから購入。加えて「ずんだ餅」「ずんだまんじゅう」そして「牛タン」も少々。私にできる東北への貢献はこれくらいである。空港でも「大和伝」の純米吟醸を買っちまった。気になっていた仙台の地を踏み、学会で奮い立ち、念願の現地の食材で現地の酒を飲み、散財する。こんなことするために生きているのだ。とても幸せな一日だった。