視覚障碍者のために、街のいたるところに点字ブロックが設置されている。駅はもちろん、そこそこの交差点、地下街などにも。当院も診療所を建てる際、市の指導というよりも、設置しなければ許可がでないので設置した。私は、この存在を苦々しく感じている。視覚障碍者を放っておけというのではない。いかにも視覚障碍者を大事にしていますという、行政の態度が許せないのである。まず、点字ブロックは視覚障碍者より圧倒的に多い四肢の障害者には大変危険である。障害がなくても足元がおぼつかない高齢者には、これに躓き大けがをする危険がつきまとう。それに雨に濡れると滑る。現に当院でも、点字ブロックを理由とする怪我人は年に数回来院される。また年に数度開催される役所職員の公務災害の審査委員会でも何度も同様の事例をみる。この審査会には、役所の職員、弁護士も出席するので、点字ブロックを設置した者の法的責任はどうなるのかを尋ねてみた。「ケースバイケース」なんだそうである。でも「診療所の点字ブロック」でケガをした場合は、管理責任を問われる可能性があるのだと。「おかしいだろー!!」駅のホームの点字ブロックで視覚障碍者の転落はある程度防げるのだろうか?躓いてかえって危険に曝してない?今後これに躓いて線路へ転落する高齢者は増えると思う。また私が、行政の言い訳と考えるもう一つの理由は、その設置の仕方にある。人の流れを考えていないのである。例えば。阪神百貨店地階の前に梅田と西梅田を結ぶ地下道がある。東西を結ぶ地下道は少なく常にすごい人である。その地下道に中1/3ほどのところに点字ブロックが1本設置されている。1本。地下道は当然左右に分かれて人は行き来する。視覚障碍者はどうやって、あの人混みのなか歩くのか?逆走するのか?それに前を見ていない、スマホ馬鹿がわんさかいる。点字ブロック、意味がない。却って危険ですらある。それでも行政は「法に則り設置している」とうそぶくのだろう。結局は、我々が障碍者に無関心だからである。いつかわが身にふりかかるのに。どうすれば少数の声なき声を社会に反映できるのだろうか。