食事にマナーがあるのは、「物を食するといういわば本能むき出しな行為は周りから見るとみっともなく下品であるから」と今年の4月に亡くなった元NHKアナウンサー鈴木健二さんが著書で述べられていた。大学生のころ読んで、膝を打った覚えがある。
その時まで私の箸の持ち方は悲惨だった。握り箸ではないもののクロスしたり先端が開いたりして、魚の小骨取りや豆をつまむのに苦労していた。
食事ごときでお里が知れると思われては、私のプライドが許さない。
アイデア商品の店「王様のアイデア」には箸の持ち方矯正箸を売っていたが、プラスティック製でいかにも子供向けであったので、一念発起して自ら正した。幸い両親は正しく箸を使っていたので、数日で苦労なく改善できた。正しく持つと、焼き魚はきれいに食べられるし、先の汚れる部分が減った(先1,5㎝くらいで済ませたいものである)。祖父が、食事マナーにはめっぽううるさかったのもよかったかもしれない。
大学生になるまで、なぜ両親が指導しなかったかは不思議である。受験に要らぬストレスを与えないという、親心だったのか。
だから他人の食事マナーは気になる。未だに他人のこと言えないけれど。
テレビのグルメ番組は芸能人の汚い食べ方がいやなので、情報として聴くだけで、注視することはない。デカ盛りは愚かとさえ思う。
ただ一人、芸能人でこれはあかんやろ。というのが笑福亭鶴瓶である。彼は回転ずしチェーンのCMに出演中であるが、あの箸使い。失格である。まず持ち方がなってない。先が開いている。
さらにいただけないのが、食物を口に入れる際、箸を縦に使うのでなく、顔面と平行に横に使って箸で口中に押し込むようにすることである。
彼は「師匠」と呼ばれる落語家である。しゃべるだけが落語でない。扇子と手拭いを見立てて食事動作を見せることもあるだろう。誰も教えなかったのか。興覚めである。
他の所作の正しさも疑いたくなる。
スポンサーもどうかしている。食を侮っているのではないか。
この話は続く。
真打登場。もちろん日本の恥、あの男である。