昨日、久しぶりに松竹座で歌舞伎鑑賞としゃれこみました。「五月花形歌舞伎」勘九郎、七之助兄弟が久しぶりに関西へ来たからです。勘三郎が亡くなったあとの南座へ出かけて以来です。娘が七之助を観たいということで、演目の両方に出演している夜の部へ。まずは「野崎村」。お染久松が心中するにいたるいきさつを描いた出し物です。動きの少ないお芝居でした。セリフを聞き漏らすまいと、真剣に観ました。七之助は許婚を「お染」に横取りされるお百姓の娘役。素人の私が講釈するのは憚られます。とにかく去っていく久松を見送る七之助の立ち姿が美しかった。やっぱり心中物はいいですね。昔の人もさぞ感情移入したことでしょう。二本目は「怪談乳房榎」。これは動きの多い、スペクタクルというべき歌舞伎でした。見どころは勘九郎の三役早変わりです。性格の異なる三役を見事こなしてました。圧巻は花道での早変わり。客席から驚嘆の声があがります。そしてこの舞台では本水を使います。客席にはビニールシートが配られ、勘九郎がまき散らす水しぶきに「キャーキャー」。敵役の猿之助も、にくたらしくてよかったですよ。江戸時代の人は、当代の人気スターを観に行って、ドラマに酔って、現代ならイリュージョンというべき早変わりに驚き、遊園地のアトラクションのような水しぶきを楽しんだのでしょう。歌舞伎はもっと人々に近かったのでしょうね。デパ地下で買った幕間弁当を持参した吟醸酒で堪能し、連休の一日を堪能したのでした。次は7月かな。