堀ちえみさんの、舌癌の公表にものすごい衝撃を受けた。最初は午前の診療が終わって、何気なく除いたネットニュースの速報で事実を知って。そしてそのあと彼女のブログを読んで。彼女の強さにである。涙が止まらなかったのはなぜだろう。先の池江璃花子さんといい、なんと女性は強いことか。自分の置かれた現状を真正面から受け止め、未来に向かって立ち向かう姿に、私は崖の上に立つ獅子を思い起こした。どれほどの不安であろう。それを微塵も感じさせず、それどころか周囲への気配り、心遣い、感謝を綴っている。そして前向きな気持ちと勇気を溢れさせている。堀さんを立ち直らせたのは、末のお嬢さんの言葉だという。「明日、死んでるかもしれへんし」と日頃うそぶいている自分が恥ずかしくなった。自分一人で生きているのではないのである。来て下さる患者さんにも支えられているのである。そして家族を支え支えられているのである。そう講釈をたれつつ、晩酌が進むのであった。