先週末、高校卒後45年の同窓会だった。卒後30年にして初めて開催し、今回が3回目。今までは恩師をお呼びして、模擬授業や懇談会を行ったが、残念ながらお会いできなくなった。

東京在住の同級生が多いが、今回は神戸に集まった。卒業生220余名中70名参加。

まず高校に集合。今京都大学の医学部長をしている伊佐正君の「脳の仕組み」について講義。文系の人たちもそれはそれは真剣に皆聴いた。64になっても好奇心が旺盛。すべてを吸収しようとする貪欲さ。スマホばかり見ている若者に知ってほしい。仕事も同じ。興味のないことにも自分を高める何かがある。

そのあと、教頭先生の引率で、校内見学。15年くらい前に大改築を行ったが、正門正面の校舎はOBの希望もありそのまま。中学校の校舎は昔の面影を残す少しレトロなデザイン。わが校独特の?机は椅子と一体型のもの。それもそのまま。掃除がしにくかったなぁ。教室の前後の大きな黒板も変わらない。毎日これをすべて使って、問題演習をしているのだろう。皆席について記念撮影。

高校の教室は少し広くモダンな印象。中学校は一クラス45名ほど、高校は55名ほどなんだそう。

すごく暖かなデザインで、本当に男子校?と。可愛い女子生徒が似合う校舎。

勉強で有名なわが校だが、実は広い運動場が二つある。野球ができる第1グラウンド、とラグビー公式戦ができる第2グラウンド。改築を機に上等な人工芝になった。授業で行ったソフトボールをまたやりたい。ジムのような筋トレルームにもびっくり。

一番驚いたのが図書室。テレビのロケ地にもなりそうな広さ。どんだけ年間予算を投じているのか。紀伊国屋より充実しているのじゃないか。

「今年の本屋大賞、ノミネート作品全10冊入荷」なんて書いてある。なけなしの小遣いで、文庫本を読み漁っていた私としては、これが一番悔しい。高校時代にこの図書室だったら、家に帰らずここで過ごしただろう。椅子もあれば、カフェみたいな部屋や、和室部分もある。

やはり読書は人間形成に絶対必要なんだよ。声を大にして叫びたい。

そして灘と言えば「柔道場」。なんせ講道館の祖、加納治五郎先生が創立に関わっているから。これまた改築時に試合場が2面とれる柔道場になった。「精力善用」「自他共栄」の校是が額装されている。

そう。灘校生はこの校是を徹底的に教え込まれる。利己的な奴はクラスのつまはじきだ。

西欧では「ノブレス・オブリージュ(高貴なものの義務)」ですかね。とにかく世のために自分の能力を使おう、ということ。

こんな仲間だから会うとすごく居心地がいい。すぐ半世紀前に戻るし。

今も社会のトップで活躍している者も多いので、その話を聴けるのがまた楽しい。

母校でのひと時を過ごし、夜は神戸のホテルで宴会。一応席は決まっていて着席なんだけど。乾杯が終わったとたん、誰一人座るものなし。

64歳を迎えるおっさん70名近くが、立ったままずっとしゃべってる。2時間しゃべりっぱなしで、最後は全員で校歌咆哮!

そのあと会場を移して、また飲み会という名のおしゃべり。

キレイどころの登場もなく、初老のおっさんがただひたすら、わいわいしゃべっている。

これぞ灘の真髄。

私は、翌日有志のゴルフコンペに参加したが、ここでもただひたすらおしゃべりに花が咲いたのであった。

やっかみが大半で、超進学校への批判は絶えないが、嫌われることを承知で言っておく。そう言う奴は一生みじめに生きろ。私たちは努力し続ける。だから私たちは最強だ。そして各々の立場を利用しあうことは一切しない。それは自分への裏切りと知っているから。「切磋琢磨」

5年後の50周年、楽しみである。45年前の制帽を引っ張り出した。「老人は思い出に生きる」

だからこの帽子は今回で封印。未来のみ見据えて生きる。使命だから。