昨日は週末の夕方を利用して、同門開業医会の会議であった。開業医は週末に勉強会や会議を開くのである。
議題は「どうやって医療技術を維持するか」「大学との関係をどう維持するか」「つぶれないためにはどうするか」が主なところであった。
医療技術を維持するには勉強会をする以外にないのだけれど、今までは製薬会社が快く担当してくれ、講師の謝礼などを負担してくれた。これがコロナ禍をきっかけに次々撤退し始めた。厚労省の薬価の大幅値下げや、ジェネリックという安物を奨励する政策のために製薬会社の経営が苦しくなってきているのである。
遠方から演者をお招きするのに、講演料、交通費、宿泊費、講演後の食事代は必要である。コロナ後は演者との食事は私たちが負担している。さらに会場費。ちんけな会議室でも10万円は必要なのである。加えて告知のための通信費などを含めると講師を二人呼べば70-80万円かかる。これを年3回開催するだけでも大変だ。
徐々に自主開催の講演会は減ってきており、製薬会社の都合の良いひも付き講演会が増えてきた。自由であるべき医師にとり由々しき事態である。
大学との関係も大変なことになっている。私たちの会の会員が急病などで休診を余儀なくされたとき、今までは大学から医局員を派遣してもらっていた。ところがかの「働き方改革」で医師の総労働時間が規制され、それもむずかしくなっているとのことである。
それどころか、残業規制のため今後週末の医療をとりやめるところや救急医療を中止するところが増えそうだというのである。
従業員の労働時間規制も厳しくなってきているので、今後大阪の開業医は夜診を取りやめるところが増えてくるだろう。
日本はどうなるのか?
「つぶれないためには・・・」と冗談でしょ?と皆さんお思いでしょ。きわめて真剣なんである。この10年以上診療報酬は下がり続けている。しかし給与はじめ支出は増え続けている。また医療をする上での国からの規制がどんどん厳しくなり、それに合わせるために支出が増大している。
国はマイナ保険証の導入をきっかけに、2030年電子カルテの必須化を目論んでいる。これについていけない医療機関は廃院しかない。またこの医療データはすべて国が管理することになる。一つは医療機関の収入を減らすために利用する。もう一つはそのビッグデータを保険会社や製薬会社などに提供するためである。これ以上ない個人情報を国は営利企業のために売ろうとしているのである。中国もびっくりである。
医者が貧乏になっていい気味と思っていると、とんでもないしっぺ返しを食らいますぜ。
現に地方では開業医が減り始めている。