最低賃金が引き上げられ、初めて平均1,000円を超えることが決まった。

数量経済学者の高橋洋一さんによると、失業率などの指標からすれば上げすぎなのだそうである。民主党政権と同じ轍を踏もうとしているとのこと。

高橋さんは賃金を上げて、購買力を増やすことが、日本経済再生の肝と言っておられる方なので、よけいに不安である。

というのも、賃上げを上げ過ぎると、雇用が増えないのだそうだ。そらそうだろう、職員の給与が高いと思えば、従業員数を抑えるしかない。平たく雇用を増やすことが肝要なのである。

私たち医療者は指を咥えて見ているだけである。何度も言ってきたが私たちは値上げできないのである。国定価格であり、しかも相対的にそれが下がってきている。だから医療介護福祉現場は年中人不足に喘いでいる。加えて非正規職員の有給休暇制度など、大多数を占める中小企業経営を圧迫する制度。

当院は大阪でも高めの設定をして求人募集しているが、それでも電話一本鳴らない。

給与を上げる余力が削られ続け、しかも大阪の医療は夜診があり、しかも土曜日も診療である。当院は人を確保できないから土曜日休診せざるを得なのである。

先日も整形外科の仲間で会合を持ったのだが、医師会でも夜診をやめましょうという議論が出始めているそうである。現に、夕方の5時や6時で終了する診療所ができ始めている。残念ながら、患者さんの便利さより、職員の雇用確保なのである。

最低賃金引上げをきっかけに、医療や介護の現場が患者さんに不便をかける方向に進みうる危険を孕んでいることは知っておいてほしい。

当院でも我慢の限界が迫っていることを痛感している。