私は、2年間府立身体障害者センターで医療に従事し、留学後も半年余りであったが大阪市の心身ん障害者リハビリセンターで障碍者行政に関わった。これで障害者をよく理解しているとは決して言わないが、少しは障碍者に対する健常者の接し方を少しは理解していると自負している。批判を承知で書く。私は、道路や公共の建造物にある、あの黄色い「点字ブロック」が嫌いである。あんなもの必要か?役所の「私たちは障碍者のことをかんがえて考えています」というポーズを見せるためだけのものと思うからである。およそ10年前、当院が診療所を新築した時、堺市には「いいまちづくり条例?」みたいなのがあるらしく(いらんお世話じゃ、それやったら車いすが入れるようなトイレを市役所に作れ!)、さんざん設計をいじられた。曰く「受付カウンター」は車いすの方と応対できるように、一段低い部分を作りなさい。ぼけー!お前ら役人と違って、私たちは、その方のそばに出向いて話を聴くのである。パンチも届かんような遠くでデンと座っているのは、役所と銀行くらいであろう。あとトイレの広さとか、位置にも口出ししやがった。あくまで役所目線であり、障碍者目線でない。点字ブロックもその時に指摘され、設置を求められた。「視覚障碍者は職員が誘導するので、必要ないし、整形外科は足元の危うい人が多いので、点字ブロックはかえって危険なんですけど」問答無用であった。「不認可」をちらつかせるのである。糞どもめ。四肢障碍者と、視覚障碍者のどちらが多いねん。しかも整形外科の診療所やぞ。ほんま役人て幸せな仕事と思う。思い付きを命令するだけ。しかも今の部署を離れれば、以前の仕事責任を問われないのだそうだ。うらやましすぎる。さてその点字ブロックである。けっこう道路の点字ブロックで転倒してケガする人は多いのである。ある日弁護士さんに訊いてみた。「道の点字ブロックで躓いて、ケガした場合、設置者である市の責任は問えますか」と。答え:ケースによるが、難しいでしょうね。「では当院の点字ブロックでケガした場合は?」答え:管理責任を問われる可能性がありますね。みなさんどう思います?無理やり設置させられたもので、なんでこっちが責任取らなあかんの?そして、今日これを書こうと思ったのは、決定的に許せないと思ったことがあったから。先日梅田の地下街を歩いていた。地下鉄御堂筋線の梅田駅から、阪神百貨店の前の地下通路をヒルトンホテルのほうへ歩いていた。この時白杖をついた視覚障碍者の方が、私の前から歩いてこられたのである。「なんで右側歩くねん。危ないがな」と思った瞬間、ドキッとした。そこにはあの忌まわしい点字ブロックが敷いてあるのです。彼女はこれを頼りに杖を突いて歩いているのです。健常者ですら人混みでまっすぐ歩けないような場所に、現実を全く無視した役人の机上の空論で、一列のブロックが敷設されているのである。法律上はこれでよく、管理者も責任をとわれないのでしょう。下りしかないエスカレーターといい、ホームの不便なところにしかないエレベーターといい、まったく人間味のない行政に、私の怒りはふつふつとこみ上げているのである。役人て、何様なん?