ノンフィクション作家の佐々涼子さんが悪性脳腫瘍のため亡くなった。素晴らしい書き手だったので、非常に残念である。

佐々さんと言えば米倉涼子さん主演でヒットしたドラマ「エンジェルフライト」が有名かもしれない。

私にとっては「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」が一番である。

東日本大震災で壊滅的被害を受けた日本製紙石巻工場が、短期間で復活するまでのノンフィクションである。

私は日本の紙は世界一だと信じているが、出版用の紙を引き受ける同工場が稼働しないと、雑誌が作れないのである。出版業の壊滅も意味する。

再生へ向けての、働く者の誇り、いや日本人のすばらしさを心から感じさせる物語であった。

待合室に置くのでぜひ手に取ってほしい。

日本人のすばらしさは、経営者も労働者も立場に関係なく困難に立ち向かえることだろう。私の愛する活字文化を守ってくださった彼らに、あらためて感謝するものである。

その出版文化に貢献大である佐々さんの死去を心から悼むのである。

もうあの才能を受け取ることができないのがつくづく無念でならない。