開業医が最新の医療知識を得るには、週末の研究会出席が一番大切です。大きな学会は勤務医のために平日に開催されることが多いです(これも変ですね)。

論文は早くても半年前の事柄です。雑誌などになると年単位で知識が古くなります。

日進月歩の医学ですが、AIの出現により進歩が加速しています。

先週末も堺市整形外科医会の研究会に出席しました。3題の演題どれも素晴らしくあっという間の3時間でした。

その一つにAIを用いた整形外科的研究のお話がありました。

感動すら覚えましたね。

まずレントゲン写真で骨折の正診率はほぼ85%だそうです。ベテラン医師で80%少しだそうです。80%しかわからんの?と思わないでね。初診時は微妙でわからないことが多々あるのです。だから1週間後再診をお願いしたりするわけです。レントゲン装置に診断機能が付くことはもうすぐでしょう。

また3Dプリンターの出現によって、CT写真から骨折のモデルや、手術手技を検討したり、オーダーメイドの手術部品を作成したりしていますが、これを2次元のレントゲンから作成する試みも進んでいます。

これが実用化されると、CT撮影による大量の被ばくはほぼなくなり、数時間から数か月かかる作成の手間がほんの数分になります。加えて医療費の大幅削減につながり、多くの方が恩恵を受けます。

またびっくりしたのが、テレビカメラで歩行を撮影することで、脚の痛みや、しびれがどこから来ているのかがわかるというものでした。足の痛みやしびれを起こす疾患は整形外科だけではなく、内科、脳神経内科、耳鼻科など多岐にわたります。そのため、患者さんが初めて医療機関を受診して正しい診断を受けて手術などを受けるまでに5年以上かかっている事実があります。それをスマホで動画を撮影して解析すればほぼ9割の確率で正しい診断が行えるソフトの開発が進んでいるとのことです。歩行は指紋と同じで皆違うらしく、個人認証にも使えるほどなのだそうです。

整形外科のほんの一端でこれです。

チャットGPTや生成AIが人類を破滅に追いやるという論調もありますが、医学へのAIの活用は少子化で人口が減る日本において、医療水準を担保し、世界に技術を広めることで日本に富をもたらすことになるかもしれないですね。